華人都市クアラルンプール
去年1月に初めてマレーシアを訪れた。首都クアラルンプールの発展ぶりに驚くと共に、多民族共生の多文化社会であることが非常に印象深く、マレーシアについて色々と調べるようになった。
クアラルンプールの街を歩いていて感じたのが、中華系住民が非常に多いということ。
マレーシアにおける各民族の割合は大体以下の通りである。(政府による2010年の人口センサス調査より)
国全体では約750万人の中華系国民を有することになり、海外華人全体においても相当な割合を占める。
ブミプトラ(マレー人及び先住民族):67%
華人:24%
インド系:7%
ざっくりとマレー系が7割、中華系が2割、インド系が1割と把握していた。
しかし、首都のクアラルンプールでは非常に中華系の存在が目立ったのである。
東南アジアの都市にはどこにでも現地国籍の華人がおり、中華街もあるのだが、クアラルンプールでは一味違った。もちろんいわゆる「チャイナタウン」と通称される場所はあるのだが、それはあくまで商業区としての呼び名であり、チャイナタウン以外にも華人は広く居住している。その程度はクアラルンプール全体が巨大なチャイナタウンとでも表現してもよいほどに感じた。
クアラルンプール随一の繁華街ブギッビンタンはそれこそ華人だらけで、ジャランアローの飲食店のほとんどは華人が経営しているし、そこから1〜2kmの近い場所には華人市場があり、イスラム教徒とは分かれた市場で主に豚肉を初めとした精肉を卸しているような場所もある。
一方、チョウキット市場のようなマレー人居住区における市場においても、華人の店主は数多く見かけた。
華人2割というにはあまりにも多く、存在感がある。一体どれほどの華人がクアラルンプールにいるのか、調べてみた。
まず、マレーシアの州別の華人の人口割合である。
華人の人口割合にかなり振れ幅があることがわかる。国全体の華人人口は約2割だが、その倍以上の割合、4〜5割なのがペナンとクアラルンプールである。
人口割合ではなく人数で見た場合、クアラルンプール首都圏の一部を為すセランゴール州は150万人近い華人を有しており、クアラルンプールと足し合わせるとなんと200万以上の華人がいることになる。また、マレー半島部最南の州であり、シンガポールに隣接しているジョホールにも100万を超える華人が居住。
さらに、以下は各民族の人口割合を都市別で色分けした地図である。
明るい緑色であればある程ブミプトラ(マレー人及び先住民族)が、赤色が濃ければ濃い程華人が多い。どちらでもない色、赤と緑の中間色である黄色に近ければ近いほどインド系が多いということになる。
特に華人割合が高いペナンを拡大してみる。
ペナンは福建華人のイメージで通っている為、全体的に華人が多いことは予想できるが、その中でもジョージタウン中心部は8〜9割近くが華人であることを示している。また、この地図では対岸バタワース全体で色分けされているので分からないが、バタワースの大山脚地区(Bukit Mertajam)は全国で最も華人割合が高い行政区だそう。
さて、本記事の本題である。
クアラルンプールにおいて、犬も歩けば華人に当たる状態なほど華人が多いことを示しているのがこちらである。
いくつかの区域はほぼ真っ赤になっており、華人の割合が8〜9割に上ることが分かる。ほとんどの観光客が訪れるブギッビンタンも真っ赤のエリアであり、住民はほぼ華人であることがわかった。隣接するSeputeh、Bandar Tun Razakも然り。
また、北西に位置するKepongというエリアも真っ赤でありほとんどが華人であることを意味している。
まとめ:マレーシアにおいて各民族は固まって居住する傾向が強く、クアラルンプール、ペナン、ジョホールバル、イポー、マラッカ、コタキナバル、クチンなど都市部においては華人の割合が高い。クアラルンプールとペナンの一部にはほぼ華人のみと言ってもよい地区がある。